天豆てんまめ

ギルバート・グレイプの天豆てんまめのレビュー・感想・評価

ギルバート・グレイプ(1993年製作の映画)
3.9
忘れられない名演技といえば、この作品のレオナルド・ディカプリオ。彼もまた、最早、演技をしているとは全く思えない、知的障害を持つ少年を演じ、その無邪気なピュアそのものの笑顔は心の奥底に今も留まり続けている。当時、私の母が、天才、天才!と驚いていたことを思い出す。オスカーまでの長い道程の原点ともいえるが、既にその才能は開花、完成していたとも言えると思う。

物語の軸は、長男のジョニー・デップが、過食症による太り過ぎで身動きさえ取れない母を支え、兄でありつつ父、いや母役も、全て彼が背負って立っている、その厳しさ。そんな彼が旅暮らしを続ける少女、ジュリエット・ルイス(彼女もまた忘れ難い、、)と出会い恋をして、心の変化に気づいていく。彼の心情が痛いほどわかり、だからこそ、心から彼を応援したくなる。

雄大な自然の美しさも印象に残る。その中で生きているひとつの家族の物語をずっと観たくなる。ラストにかけて、希望、解放感、切なさ、様々な感情が呼び起こされる、、心のある場所にずっと留まり続けるような優しくも愛おしい名作だと思う。