とか26

蛇の道のとか26のネタバレレビュー・内容・結末

蛇の道(1998年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

🟨【良かったところ】
そりゃ、不祥事の一つや二つ
やっててもらわないと困るわっていう
香川照之の気合いの入った気持ち悪さ。

家に襲撃する場面、
後半でループモノなのかと錯覚してしまう
デジャヴな絵作りしてて好き。

【レザボアドックス】リスペクトみたいな
廃工場での尋問シーン、
失禁させたあとのびちゃびちゃな地面の上に
ごはんベチャって落として食べさせるやつ、
悪趣味なのに相手はどっちみち悪人だから
観客的には善悪の感情の中で揺れるみたいな
気持ちにさせられる作りしてて嫌ん。、

方程式を羅列してる黒板に
次々集まってくる生徒たちの後ろ姿の無機質さ、
これまで何度も見てきた黒沢清印が詰まってて
最初から一般人も不気味なんだ!って感動した。

わざわざ人質2人集めた理由が
拳銃で生き残りさせるためだったの
ストーリーの作り方として面白い。
結果、柳ユーレイさんが生き残ったから
これからこの3人で話が進むのかと思ったら
直後に射殺されて退場するし、
読めない展開が淡々と続いていく。

廃工場が真っ暗なときの無機質さ、
【クリーピー】の地下室みたいだった。
空間の気持ち悪さが、もはや気持ちいい。
ダークなスチームパンクみたいな
非現実さに包まれた世界観がカッコいい。

もうナチュラルには作れない、
ホラーとかサスペンスをより怖くさせる
この時代の画面のザラつき、大好き。

塾の女の子がキッカケで
香川照之の居場所がバレるのかと思いきや、
まったく関与しないまま終わるの、奇妙。

階段下から哀川翔に手を振る香川照之の、
大人なのに幼稚な精神が覗いてくる
あの心地の悪い気持ち悪さの迫力…。
距離置きたいぃ…ってなる人間描写。

哀川翔が自転車で振り返って
誰もいないとか、
香川照之が暗闇に立つ塾の女の子に
満面の微笑みこぼしてるとことか
あとあと理解出来るのかと思ってた場面が
なにも理解できないまま
謎のシーンとして存在してるの物騒。

駆け引きのない命の呆気なさとか
仁王立ちしたままで銃撃戦が起こるところに
北野武映画みたいなバランスを感じる。
そもそも極道の緩さみたいなのも似てる。

隙間なく積まれたテレビの画面に
いやと言うほど娘が映し出されてる映像、
そのテレビをまるで娘のように抱きしめてる
香川照之のビジュアル、
【ガリレオ】湯川の血縁者ですか…?みたいな
地面に書き込まれてる数式などなど、
そこだけ切り取ってもパワーのある映像の連続。

娘が拷問される現場を収めたビデオを
拘束した香川照之に見せつけるとかいう
親になって味わえる地獄選手権第一位な展開を
オチに持ってくるエネルギーさすがだった…。
そんな場面に100点の回答で答えてくる
香川照之の受けの演技、
絶対に見たくない…っていう感情と
追い求めてきた結末を知りたい…っていう
相反する目的が重なった末のアレなのがまた…。
インコみたいな声が漏れ出てくるのとか
演技力が声帯にまで及んでて本当にすごい。
不祥事VS演技力の戦い、
演技力が強すぎて不祥事負けそう……。

ラスト、
数式という心理が 地面を覆い尽くしてる状況で
その答えを追い求める教師からの、
有無を言わせぬ
「あんたも興味あるの?」っていう問いかけ。
犯人の正体を追うっていうストーリーに、
数学の答えを追うっていうモチーフを
重ねてくる作りが面白いなーって思った。

延々に繰り返される
「おれの娘だ。ここで殺された」とか、
毎度のこと「絶対に本物使ってますよね…」
って思ってしまう死体の作り込み、
ホラーじゃないのにホラーみたいな怖さを
ほんのり味わえるからある意味お得……。
怖いけど。


🟥【気になったところ】
コメットさんって…なんなんだよお……。


ありがとうございました。
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