モスマンは実在する

大魔神のモスマンは実在するのネタバレレビュー・内容・結末

大魔神(1966年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

丁寧で面白い映画である一方、日本人(大きい主語)の価値観を深く描きすぎて、観ていて居心地が悪くなった。良作。

耐えて耐えて最後は神頼みになるスカッとジャパン的な話。結局、反乱を起こすのも高貴な家の正当な血筋の者のみで、百姓はただ待ってるだけなのも日本人らしい。小笹が身投げすれば神が救ってくれると思うのも、特攻とかと思想の根っこは変わらない。

スピルバーグがアメリカ人に対し、「こういうのが観たいんでしょ?」と低レベルな観客に合わせた映画を撮ってみせるような感触。

サントラが伊福部昭のため、曲調が『ゴジラ』テーマをゆっくりにしたような感じ

魔神がどういう理屈で動いているかの設定も緩い。例えば、魔神が村に出現する前に光る円盤が乱舞して、それから魔神が現れる。これは魔神が移動してきた表現なんだろうけど、今度はエンディングで魔神が去る場面では魔神の体から光る円盤が飛び去った後に体が土塊と化して風化。光る円盤が魂ってこと?光る円盤が車に入り込んだらトランスフォームするんだろうか。

魔神にしてはチョロすぎやしないだろうか。最後にヒロインが泣けば言うこと聞いてくれるのも納得が行かない。『キングコング』みたいにヒロインの言うことを聞く不器用で粗暴なキャラなんだろうけど、そこは神なんだから荒ぶって欲しいよな〜と。ヒロインを踏み潰し、村人も全員殺し、日本中に眠る魔神が次々と目覚め、超古代の魔神文明が復活して終幕!になるべき。そこでは富士山が大噴火しているはず。