戦後モダン派の隠れた佳作 須川栄三「ある大阪の女」
先日観た「野獣死すべし」の須川栄三作品だから観ました。タイトルだけ見れば多分無視してたでしょう。全然食指が動きませんから。
まず驚いたのがかの大御所溝口健二「浪華哀歌」のリメイクだということ。当然依田義賢先生のシナリオに須川流の味が加味され生まれ変わった逸品です。
60年代だからフランスヌーヴェルバーグ全盛期。その頃我が日本は中平康、川島雄三、鈴木清順らの戦後モダン派全盛期。団令子演じるアヤコは明らかにその時代の申し子です。
小沢栄太郎や藤原釜足、川崎敬三という当時の大スターたちが見事に団令子を引き立ててます。
途方もない傑作でないだけに歳月の中に埋もれてしまう作品でありますがこんな映画を発見することに日本映画の醍醐味を感じます。