アキラナウェイ

ドライビング Miss デイジーのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

ドライビング Miss デイジー(1989年製作の映画)
3.7
あ、この音楽知ってる!!
オープニングの音楽に心が躍る。
ハンス・ジマーのライブで聴いたからだ!!
一度聴いただけで覚えられる。
ハンス・ジマーよ。やはり天才か!?

アメリカ南部を舞台に、老齢のユダヤ系未亡人とアフリカ系運転手の交流を描く。アカデミー賞の作品賞、主演女優賞、脚色賞、メイクアップ賞の4部門で受賞したって言うから凄い!!80歳で主演女優賞に輝いたジェシカ・タンディは史上最高齢での受賞だそうな。

1948年、ジョージア州アトランタ。キャデラックに乗り込んだデイジー(ジェシカ・タンディ)は、ギアの入れ違いで事故を起こしてしまう。母の運転を危惧した息子のブーリー(ダン・エイクロイド)は、母の為に初老の黒人男性ホーク(モーガン・フリーマン)を専属の運転手として雇う。ホークの運転する車に頑として乗らないデイジーだったが、根負けしてホークの車に乗る様になる。

プライドが高くて、歯に衣着せぬ物言いで、"扱いにくい"デイジー。

そんなデイジーに屈せず、飄々としながらも正直で、真面目な仕事ぶりのホーク。

徐々に心を交わし、仲を深めていくデイジーとホーク。
この2人の掛け合いが何せ楽しい。

ストーリーに大きな起伏はないものの、デイジーとホークの日常の中でさり気なく描かれる差別の現実。

文字を読めないというホークに読み書きの本を贈る元教師のデイジー。進学出来ず、労働者として人生の大半を過ごして来た黒人達の教育事情。

人生で初めて州外に出たというホーク。ユダヤ人と黒人に対し、差別的な対応をする警察官。

白人用のトイレが使用出来ず、車を止めて用を足したいとデイジーに申し出るホークの遣る瀬無さ。

ユダヤ人として毎週の礼拝を欠かさないデイジー。KKKにより教会に火が放たれるという衝撃。

映画としてドラマティックさには欠けるが、車の車窓から見える景色を眺めるだけで、50年代、60年代のアメリカ南部の差別の現実が垣間見える。この描き方は、巧い。

「グリーン・ブック」はこの作品のオマージュだったのか。

1948年から1973年まで。
ダン・エイクロイド演じるブーリーの髪が後退し、白髪混じりになっていく事で感じる時の流れ。

軽妙な音楽と
確かな演技力と
細かな描写で伝える人種差別のテーマ。
そして、デイジーとホークの友情。

派手さはなくても、心温まる良作。