ちろる

フランケンシュタインのちろるのレビュー・感想・評価

フランケンシュタイン(1931年製作の映画)
3.8
人間が神の領域に手を出す事への警告として、メアリー・ジェリーが書いた「フランケンシュタイン」を最初に映画化された作品。
1931年上映なのに、とにかくボリス・カーロフに施された特殊メイクが何とも不気味。
誰もが一度くらいこの作品を観ていなくても彼の分厚いまぶたとボルトの出た頭のあの姿は一度は目にしたことはあるはずだし、間違いなくこの姿が、パロディも含めてその後のモンスター像を作り出したのは言うまでもない。
フランケンシュタインを読んだことも観たこともない人の中には、あの恐ろしい見た目と、凶暴な唸り声と人間たちをなぎ倒す馬力を持つこのモンスターが、実は切ない運命を辿る心優しい純粋な心の持ち主だという事を知らなず、ただのホラーとして認識する人も少なくないはず。
しかし、これを観れば彼が凶暴で危険なモンスターではなく、すべては人間の業と恐れによって作り上げられた悲劇の物語なのだと知ることになるからとても複雑な気持ちになる。
画角にこだわった塔の周りに稲妻が光るシーンや、追い詰められたモンスターがフランケンシュタイン博士と対峙するあの恐ろしいシー、そして川縁で幼い少女と出会うひとときの幸せのシーンなど数多くの印象的な映像が残されている作品としても十分に見応えあるものになっていると思う。
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