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レイジング・ブルのEyesworthのレビュー・感想・評価

レイジング・ブル(1980年製作の映画)
4.7
【伝説のボクサーの光と影】

マーティン・スコセッシ監督&ロバート・デ・ニーロの『タクシードライバー』の黄金コンビによるボクシング映画。

【あらすじ】
ジェイク・ラモッタ(ロバート・デ・ニーロ)は、かつて「怒れる牡牛」と呼ばれた世界ミドル級チャンピオンに輝いた男だ。弟ジョーイ(ジョー・ペシ)がセコンドを務める黒人のミドル級ボクサーとの闘いで、相手を叩きのめしたにも拘らず判定負けをするジェイク。翌日昼間からやけ酒を飲み、彼は妻に八ツ当りをする。そして、ブロンドの美女ビッキー(キャシー・モリアーティ)との出会い。やがて2人は愛し合うようになり結婚する。デトロイトでシュガーをKOするが、同年に行なわれた彼との対戦で今度は判定負けをした。彼ら兄弟には、逃れられない敵がいたのだ。それは八百長試合を強いる組識だ。やがてその大物トニー(ニコラス・コラサント)の誘惑に負けた2人は1947年、遂にマジソン・スクエア・ガーデンでの八百長試合を承諾した。しかし1949年、デトロイトで、ジェイクはフランスの英雄に挑戦するチャンスを得る。この世界タイトル・マッチで、ジェイクは見事チャンピオンに輝いた。しかし、そのころから彼には、ジョーイとビッキーに対する強い嫉妬心が根ざし出し、心は沈んでいった。そこから立て続けに負けが込んでいく。そして1964年のバルビゾン・ブラザーシアターの楽屋には、無残に肥えた肉体のジェイクの姿があった。

【所感】
現役時代の筋骨隆々のジェイクと引退後のだらしない体のジェイクを演じたロバート・デ・ニーロの所謂「デニーロ・アプローチ」と言われるストイックな役作りで有名な作品。そんな彼の熱量が画面越しに伝わってくる。血と汗がシャワーのように迸る圧巻のカメラワークに舌を巻く。レイジングブルと恐られる彼は私生活でも手が付けられない暴れん坊で、一度誰かを疑うと言葉と暴力で叩き伏せる性格を持っていたことを知る。大切な人を失ったことに気づいた時にはもう遅い。ジェイクの姿にはかつての面影はなく、悲哀たっぷりの身体と言葉だけが独房に囚われている。ボクシングにはあまり興味がなかったが、シルベスタ・スタローンの『ロッキー』と併せて関心が宿った。
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