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嫌われ松子の一生のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

嫌われ松子の一生(2006年製作の映画)
3.5
ひとりの女性の転落人生を描いた山田宗樹のベストセラー小説を、中島哲也監督が中谷美紀主演で映画化。
悲劇的な人生をコミカルに、極彩色のミュージカル仕立てなど、ポップな感覚でセンチメンタルに描く。
(英): Memories of Matsuko (2006)

物語は、松子を知らない甥が、彼女の人生を振り返る形で展開する。
川尻家の長女として生まれた松子( 中谷美紀、幼少時代は奥ノ矢佳奈)は中学校の教師になるが、修学旅行中に窃盗事件が起き生徒の罪を被ったことから辞職。転落人生が始まる。
同棲した作家志望の青年が自殺し、ソープ嬢になり、ヒモを殺して刑務所暮らしをし、ヤクザになった生徒と同棲を経て捨てられ、最後は53歳で殺されてしまう。

~登場人物~
・父 (柄本明)
・母(キムラ緑子)
・病弱な妹( 市川実日子):松子が大好き。
・弟(香川照之):松子と縁を切る。
・弟の妻(濱田マリ)
・弟夫婦の息子(瑛太)
・元教え子のヤクザ( 伊勢谷友介):出所を待っていた松子を殴り倒し、逃げる。
・AV会社の社長で女優(黒沢あすか):親友。心配して「名刺」を渡す。
・ソープ嬢( BONNIE PINK)
・最期に住んでいた荒川沿いにあるアパートの隣人(ゴリ):見かけ倒しのヘビーロッカー
・甥から去っていく女性(柴咲コウ)
・同棲後自殺した作家志望の男(宮藤官九郎)
・その男の友人で不倫関係になる作家志望のサラリーマン( 劇団ひとり)と妻(大久保佳代子)
・松子の入水自殺を防ぐ理容師(荒川良々)
・想いを寄せる同僚教師( 谷原章介)
・松子に殺されるヒモ男( 武田真治)
・教頭(カンニングの竹山隆範)
・校長(角野卓造)
・挿入されるサスペンスドラマのヒロイン(片平なぎさ )

「人間の価値って、人に何をしてもらったかじゃなく、何をしてあげたかってことだよ」

「許(赦)されざる者を許(赦)し、そして愛する。それが神の愛です」

「お父さん、似てるんだよ。この川は筑後川に」

「もう誰も信じない。もう誰も愛さない。もう誰も自分の人生に立ち入らせない」

映画を見る限り(脚色がかなりあるらしい。小説は未読)、松子は男たちから暴力を受けたり食い物にされたりする犠牲者であり、キャッチコピーの「松子。人生を100%生きた女」とは言えないだろう。
監督は最後は明るく閉め、悲劇的な松子の人生へのエールを送っているが、松子をセンチメンタルに神格化(美化)するのは、別な面を覆い隠すことにならないだろうか?
中島監督から罵声を浴び続けた中谷美紀は、精神的にかなり追い詰められたと言われている。俳優中谷の頑張りにはエールを送りたい。
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