びじゅぼん

愛のエチュードのびじゅぼんのレビュー・感想・評価

愛のエチュード(2000年製作の映画)
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大好きなナボコフ『ディフェンス』原作なので見た。期待してなかったせいかわりと楽しめた。
トゥラチ戦前後をメインにして、意外にナボコフ原作粗筋をうまいこと摘んでまとめてほどほどに改変を加えて(トゥラチとヴァレンチノフが組んで盤外戦でルージンを追い詰めるが、ルージンの死後、ルージンが遺した手でルージン夫人がトゥラチに勝つとゆう筋書きに大胆にアレンジ)映画にしてておもしろかったょ。でもナボコフ原作じゃないよなー。『ふしぎの海のナディア』の原作が『海底二万里』てゆうくらい無理がある。
原作『ディフェンス』はチェスから逃げたいチェス小説の主人公に対して、ありとあらゆるコンビネーションを駆使してチェスをさせようとするチェス小説の構造との攻防が読みどころなんだけど、映画はヴァレンチノフがひとりルージンへの嫌がらせをしているのがショボいんよね。全世界がルージンにチェスをさせようとする緊迫感がないのが残念。
チェスは出てくるがチェス感が薄い映画なんだけど、登場人物のセリフにチェスで戦っているようは意味合いを持たせているシーンがいくつかあって、原作のチェスに塗れた雰囲気を作ろうとしていた努力は好ましい。
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