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めしのleylaのレビュー・感想・評価

めし(1951年製作の映画)
4.3
女性の本当の幸せとはを問う作品。
連載途中で絶筆となった林芙美子の小説を成瀬巳喜男監督が映画化。

冒頭の「台所と茶の間との間で、女の命はやがてむなしく老い朽ちていくのだろうか」というナレーションから良作の予感。

結婚して5年目、夫婦の元に夫の姪っ子がやってくることで、妻の三千代(原節子)が夫(上原兼)に嫉妬し、日々の不満が溜まってゆく。

そして、実家に帰るという小さな反乱を起こすストーリー。

夫婦離ればなれに数日を暮らすうちに気づく互いの思い。女の幸せ。

拗ねたり、嫉妬したり、愛猫を可愛がったり、小津作品よりもイキイキとした原節子さんにお目にかかれて幸せ。

杉村春子が原節子の母親役という贅沢なキャスティング。存在自体が最高です、杉村春子さん。

上原兼がかわいげがあってモテるのがわかる。適役でした。

👇ネタバレ含みます






ラストに二人でビールを飲むシーン。
「にがい」という妻、「うまい」という夫。この時代、女性はあまり酒を飲まなかったんだろう。
「腹減ったなぁ」と思わず言ってしまってすぐに「ごめん」と謝る夫。何気なく微笑ましい一コマにホッとし、涙がこぼれた。

「めし」という毎日の営み。絶妙なタイトルだと思う。女性はめし炊きのためにいるのではない。そんな不満を持ちつつも、夫と一緒に幸福を求めながら生きることこそが女の幸せであると改めて気づく。「めし」というたった2文字にたくさんの思いが込められている。

現代ではあり得ない女性の幸福論だけど、ささやかで微笑ましくて胸がキュンとなりました。

「無限な宇宙の広さの中に
人間の哀れな営々とした
いとなみが
私はたまらなく好きなのだ」 

冒頭に出てくる林芙美子の言葉そのものの作品だった。
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