けんぼー

まほろ駅前多田便利軒のけんぼーのレビュー・感想・評価

まほろ駅前多田便利軒(2011年製作の映画)
3.5
2020年鑑賞170本目。
独特な雰囲気と哀愁を漂わせる小さな街のヒーロー物語。

「星の子」公開に向けて大森立嗣監督作品の復習。
主人公の多田(瑛太)と行天(松田龍平)の二人が醸し出す雰囲気がたまらない。会話の掛け合いも思わず笑ってしまうところもあるし、何より自然なのがすごい。二人の確かな演技力。
最後の多田の独白シーンの長回しは思わず感動してしまう。ワンカットで撮るからこそ伝わるリアルさがあった。
あと、瑛太による松田優作の「なんじゃこりゃあ!」パロディからの松田龍平の「誰?全然似てない」の流れが最高だった。
「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」と同様、親と子というテーマが根底にある。親として子を失ってしまった多田と、親から虐待を受けていた行天の、それぞれの「親子」というものに対する考え方の違いがぶつかるシーンが印象的。
シリアスな展開もあるのだが、多田と行天の会話でそれを緩和させてくれるので暗くなりすぎず、軽くなりすぎずで絶妙なバランスを持った作品。
緩い気持ちで観れるけども、とついほろっと来てしまうこともある良作でした。

2020/10/7鑑賞