【第70回アカデミー賞 助演女優賞他全3部門ノミネート】
『マグノリア』ポール・トーマス・アンダーソン監督作品。アカデミー賞では助演女優賞(ジュリアン・ムーア)、助演男優賞(バート・レイノルズ)、脚本賞の3部門にノミネートされた。
長編二作目とは思えない深度で撮られた驚愕の作品。練りに練られた脚本、達者な演者たち、徹底的に調べ上げられたポルノ業界の描写などとにかく規格外。
ロバート・アルトマンに感じる「なんか分からないけど凄い」という感覚が押し寄せる。ポルノ業界の裏側を描いた群像劇であるが、それぞれの掘り下げ方や多様な運命の交錯を見事に描ききっている。
長いのもアルトマンイズムか。でもその長さを感じさせないくらいに上手いし面白い。PTAの凄さは皆が言う割に理解していなかったが、本作を観ると納得でしかない。
マーク・ウォールバーグはもちろんジュリアン・ムーアにバート・レイノルズ、ジョン・C・ライリーにフィリップ・シーモア・ホフマンと実力派がズラリ。それでもってこの映画の頃はそこまでスターじゃなかった訳だからね。PTAは役者を輝かせる天才だ。
全く予測のつかない展開や容赦ない暴力や性描写を通してポルノ業界の悲喜こもごもを見事に表現している。キャラクター造形の深さも流石。大きなカオスの中に観客も引き込まれていく。見事としか言いようがない傑作。