ゆみモン

赤い殺意のゆみモンのネタバレレビュー・内容・結末

赤い殺意(1964年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

「赤い殺意」なんて、火曜サスペンス劇場みたいなタイトルだなぁ…と思って観ていたが、そこは今村昌平監督だけあって一味違った。
「重喜劇」というネーミングにふさわしい、おどろおどろしさと滑稽さとが入り混じったストーリーだ。

旧い因習の残る地方、女中だった女・貞子(春川ますみ)がその家の次男(西村晃)の子を産み夫婦となる。しかし、実は正式に認められてもらえず、子どもは祖父母の子として認知され、貞子は入籍もしてもらえない。
そんなある日、夫が出張中に強盗に入った男(露口茂)に、貞子は強姦されてしまう。
警察に届けることも夫に訴えることもせず、貞子は自死を考えながらも日々は過ぎていく。そして、何故か強盗犯人の男が貞子を好きだと言いつきまとうのだ。
貞子も嫌がりながらも拒絶しきれない。このあたりは昼メロっぽいが、妊娠した貞子はいよいよこの男をなんとかしようと考え始める。
貞子は男の殺害を計画したものの、実際は男は病死する。貞子は流産し、二人を尾行していた夫の愛人は事故死する。

結局、貞子は入籍してもらい、夫にの実家に引っ越し姑と同居して、元の鞘に収まってしまうのだ。

貞子の殺意は、強盗犯の男だけでなく、夫にも向いていたのではないか?とも思った。
夫婦とはそういうものなのだろうか?
女…というより貞子のしたたかな変貌ぶりが凄い。主演女優が春川ますみというのがリアリティがあって良かったと思う。