イチロヲ

ブラックブックのイチロヲのレビュー・感想・評価

ブラックブック(2006年製作の映画)
3.5
ナチスに家族を殺害されたユダヤ人女性が、スパイ役としてオランダのレジスタンスに加担する。ドイツ占領下のオランダを舞台にしている、サスペンス映画。

前半部は、家族を失った女性がスパイの才能を発揮していく展開。そして後半部では、戦争の終結後を舞台にして、裏切り者の捜索が繰り広げられる。有事のオランダを再現している、迫力のロケ撮影に関心が高まる。

ナチスとレジスタンスの両陣営に裏切り者が存在しており、裏切り者にも裏切らないとならない事情があることが描かれる。すべての登場人物に対して「必死に生きている人間に過ぎない」という視線が向けられている。

悲嘆に暮れることなく「Let it go!(流れに沿って突き進め!)」するヒロイン像が、どこか日活ロマンポルノのよう。「戦争というのは両者のプロパガンダ合戦であり、一瞬のうちに真実が埋め立てられてしまう」というのは、まさに真理。
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