けーはち

オーディションのけーはちのレビュー・感想・評価

オーディション(2000年製作の映画)
3.4
「仕事は来たもん順で受ける」とジャンルを問わず漫画原作でも何でも断らずこなす映画職人の三池崇史監督だが、いかに粗製乱造しても評価が高い理由は本作にある。ロッテルダムで「悪魔‼👿💢」と罵られたとか、アイルランドで映画協会の会員が倒れたとか、マリリン・マンソンが大ウケして「リメイクするなら俺に」と言ってきたとか、邦画で唯一TIME誌の「ホラー映画トップ25」にランクインしたとか、いろんな逸話を獲た、村上龍原作のサイコホラーの秀作。

主要人物は石橋凌、國村隼といったむさ苦しいオッサンたち(深刻な若いイケメン不足)。中華系ツリ目顔でボソボソ喋るヒロイン椎名英姫が異物感を漂わせる。そして「妻に先立たれた映画のプロデューサーがオーディションにかこつけ女漁り、サイコ女に復讐🔪される」というフェミニスト・ホラー的なストーリーラインと、日本国内より海外でウケる理由は大いにあるし、そして日本人は海外評に弱い。

今見ると90年代のJホラーらしいかったるい部分はあるし「主人公のオッサン、『幻覚でした~✨』って言うにはいろいろ見すぎじゃね?」と御都合を強く感じさせる部分があるのだが、「バラバラ殺人現場でなぜか人体のパーツが多い」等の生理的・精神的恐怖による追い詰め+陰気なヒロインが急に生き生きと楽しげにハイになる拷問描写できちんと怖がらせ痛がらせてくれる。