crisp

レインマンのcrispのレビュー・感想・評価

レインマン(1988年製作の映画)
4.6
観て良かったな〜。
観よう観ようと思って後回しにすること、サブスクになってから増えたよな〜。「いつでも観れる」ということが「いつでも観ない」を引き起こしてるわ〜。最近はその撃退法として、「悩む前に再生ボタン押す」というのをやってる。意外と、再生ボタン押しちゃえば見ちゃうのだ。クリック一つなのに、見るまでが大変ってなんだ?

というわけでレインマンも名作と知りながら見れずにいた作品の一つ。
観て良かったとしか言いようがない。観た方が良かった。
でもおそらく早い遅いはなく、いつ観ても何かしら心動かされる作品であろう。

ダスティン・ホフマン出演作品は見てる方だと思ってたけど、結構コメディーものが多くて、「ダスティンホフマン=おもしろい・コメディーうま!」という印象だった。だけど今作を観て、また別の角度で「上手いなあ...」と感嘆した。
自閉症の役を見事に演じきってるわけだけど、特に印象的だったのは
弟チャーリー(トムクルーズ)にリュックを介して引っ張られながらリズムを崩しながら歩く姿、そして後半では弟の後ろにぴったりとくっついて早歩きする姿。私は彼のその歩き方が印象的で仕方なかった。
なんと言うんだろう、無理やり歩くんだけど、そういう障害のある人特有の「不安がありつつ着いて行く」という歩き方。多少引っ張られながら。多少強引に。あの感じが、すっごく表現されてて、この感情をどう言葉にしていいかわからないけど、可哀想であり、愛おしさもあり、胸が苦しくなる。

本当に終始ふしぎと、レイモンドに愛情を感じる自分がいた。そういう人物をつくる脚本と、彼の役作りの力なんだろうなと感じた。
それに対してトムクルーズ演じる弟チャーリーの前半の憎たらしさよ、笑
映画の半分くらいまで、チャーリーはすぐ怒鳴る、強引な人物、シンプルに"嫌なやつ"として描かれていた。し、実際自分も見てて「やめたれよ」とかレイモンドに対する言動にイライラしたりした。

でも、最初はレイモンドの要求に無理やり仕方なく応えていたチャーリーが、ちょっとずつ彼を思ってやるようになってるところ。そんな二人を見てて、すごく癒されるなにかがあった。そうはいってもチャーリーも彼に対して細やかに丁寧にできるわけじゃなく、ガサツな対応をしてしまうけどそれでも、彼に対する心持ちがどんどん変わっていく姿が、よかった。

レイモンドは、本当にレイモンドにしか見えないんだけど、
「中身はあのダスティンホフマンなんだよな?」と思うと不思議でならなかった。
観て良かったなあ。
90年前後、2000年あたりの映画が今はすごく癒されるのかもしれない。
crisp

crisp