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ピアニストのKのレビュー・感想・評価

ピアニスト(2001年製作の映画)
3.8
一にも二にもイザベルユペール。彼女の演技力に脱帽。さまざまな表情が目に焼きつく。真面目な顔して狂った映画というより、狂った顔して真面目な映画という印象。設定は39歳。母の過干渉。横並びのベッドは驚く。カミソリ。ガラス。店での堂々とした振る舞いは意外。禁止されるほどやりたくなるカリギュラ効果は多かれ少なかれ誰もが持つ心理。抑圧に比例した倒錯を嘲ることはできない。越えたいけれど越えない一線。手紙。順序を飛ばした性急な交渉。ここにも彼女の欠落した何かが垣間見える。咄嗟の一言はやはりピアニスト。映画を彩るピアノの選曲が良い。ワルター役のブノワマジメルさんも難しい役をよく演じていたと思う。彼に言いたい、世の中には愛に傷ついて死ぬ人もいるし殺す人もいる。説明がない分いくつか不明瞭さは残る。彼女の選択。痛くて切なくて応援したくなるラストだった。
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