長谷川

ピアニストの長谷川のレビュー・感想・評価

ピアニスト(2001年製作の映画)
4.0
とりあえず一言言うなら、すげえ映画。
なんと表現して良いのか分からないけれど、人間は人格形成に失敗すると色々なモノが破綻していく。
人との関わり方、社会性は勿論のこと、自身の欲求に対する向き合い方、行き過ぎた理性は本能を抑圧するに留まらず破壊してしまう恐ろしさ。そういったテーマが書かれていた様に感じる。

エリカの部屋で例の手紙の中身を知るシーンがあるが、実は僕も10代の頃にお付き合いした歳上女性から、同じ様な要求を受けた事があった。
幸いにして、僕にはその手の理解というか耐性の様なモノがあったので、ワルター君程の拒絶感や嫌悪はなかった。
しかし、愛した恋人からあまりにも「自分」と言う存在を無視した、生々しい要求をされる事の虚無感は決して無かった訳ではない。
今作は「エリカ」を追う作品として作られているが、ただ純粋にエリカを愛し、触れたい繋がりたいと願い続けたワルターの視点で観ると恐ろしい作品である様にも思う。


「知的な顔してクソ同然の中身かよ」
そう言いたくなる気持ちも分かるよ、ワルター
長谷川

長谷川