長谷川

ノクターナル・アニマルズの長谷川のレビュー・感想・評価

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
3.5
オープニングロールから色んな意味で凄え映像。ルシアンフロイドの「太った娼婦」を連想させる。

「女は才能に惚れる」と言うが、そもそも「才能」とはなんだろうか。
例えとして「天才と凡人」の話がある。
誤解を恐れず簡潔に纏めると「天才は凡人を理解できるが、凡人から見る天才と言うのはあまりに荒唐無稽で理解し得ず、それどころか多くの凡人達から過小評価され蔑まれる」というものである。
スーザンから見たエドワードは余りにセンシティブで弱々しく、頼り甲斐のない無才な男に見えたのかも知れない。
しかし、かつての恋人に対して、これだけの愛と才能を以て人生を見直すキッカケを与えるだけの気概のある人間なのだ。
言葉は悪いが「バカは死んでも治らない」と言う。バカを治す唯一の治療法は「自分で気付く」他ないのである。
僕は才能を「真理を見抜き、捉える力」である様に思った。

映画としての評価だが、脚本は言わずもがな素晴らしい。原作も是非とも読んでみたい。しかし、映像もそうかと言われると疑問が残る。
やりたい事は分かるのだが、そのあまりの稚拙な表現が僕には合わなかった。
荒ぶるカメラワーク、わざとらしい構図、何処かで見た事ある様な手法が随所に散りばめられていて「精神的な脚本にそれらしい映像を組み合わせたら芸術的になるっしょ」みたいな下心を、僕個人としては感じてしまった。
脚本が素晴らしい分、もっとシンプルでよかったのではないかなと。

そして相変わらずジェイクはこう言う役が合う。おヒゲもさもさの口角上がったクマさんみたいなルックスで、目を赤らめ腫らしている姿が様になる。かわいい。
長谷川

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