nam

シンドラーのリストのnamのレビュー・感想・評価

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
4.1
「一つの生命を救える者が世界を救える」

連休なのでマイルストに溜まっていた長尺の作品を観よう思っていたらちょうどタイムリーな題材に!
オリンピック開会式演出の小林賢太郎さんが過去のネタでのホロコーストを言ったがために辞任にまで追い込まれるという 今なおデリケートな話題であり、人類の負の歴史として忘れてはいけないしそれを知るためにも観る価値のある作品です。

歴史の教科書などで事実などは知っていてもそれを映像化し、観るとでは衝撃度は全然違います。
人が人に対してこんなに残酷になれるのかという地獄のような闇の歴史は知るべきですね。

そしてそんな中でも自身の経営する工場の労働力としてホロコーストから保護したアダム・シンドラーが救ったのは1100人と何百万という被害からしたら微々たるものでそれを英雄視するのはどうなのかと当時批判もあったようですが、その1100人の子孫を考えるととても多くの人を救っているという事でもあるので、当時の情勢を考えるとやはり彼のやったことに意義はあるなと感じます。

またスピルバーグ監督にとっても転換点といえる作品で、本作まではTheエンタメの大衆向けの監督というイメージだったのが、本作をきっかけに社会派なドラマも描けるという事を示し、今後の作品の幅を広げたという意味でも映画史的に意義のある作品。

大人で落ち着きのあるシンドラーと対称的に描かれる収容所の所長のアーモンは残虐で、精神的にも幼稚な所があるが、監督自身も当時子ども向けの作品ばかりで大人になりきれない所には共感していたようで、そういった大人になれないという精神性においてはシンドラーよりアーモン側に投影されていたという面もあるようです。

いずれにせよ人類史や映画史としても歴史的な1作として観るべき作品。
nam

nam