男女が浜辺で戯れるとき、水面が跳ね返す眩い光は、息子の命を奪わんともした父の白刃に煌めく光とほぼ同じ鮮烈さで、我々の瞳を射止める。そして大戦が「あっけなく終わった」ように、女はあっけなく死ぬ。
だから映画の最後、次の世代の男女が眩い光に包みこまれる浜辺の光景は、複雑な希望に満ちたものとして、私の記憶に残りつづけるに違いない。「複雑な希望」としたのは、目を眩ませるほどの光が、特定の戦禍を連想させるからにほかならない。

第一部は結構おもしろい。

松竹製作、家族三代の物語だが、骨格が弱い。山本薩男とか今井正向きの話なのだが、家族の群像劇になり損ねている。ともかく冗漫。
新宿松竹にて。