めしいらず

陸軍中野学校のめしいらずのレビュー・感想・評価

陸軍中野学校(1966年製作の映画)
2.6
国の為に君たちの前途有望な未来を、青春を、生命を捨ててくれないか。賞賛の栄誉は与えられず国民が知ることもない諜報活動。上官に選ばれた精鋭たちは、慕う彼の実直な言葉を意気に感じてスパイ教育を受ける決意を固める。苛酷なその課程は彼らを追い詰め、学校が掲げる高い理想はやがて彼らを先鋭化させていく。職務上、親や恋人にすら知らせることのないまま彼らはぷっつり消息を絶ち、残された者たちには割り切れぬ日々。そして主人公の行方を探す恋人が陸軍内部に潜入したことから物語は悲劇的な結末に突き進んでいく。007などとは違い地味極まりないのがリアル。理想高いあまりに学校の名誉に泥を塗った仲間に自害を迫るのが空恐ろしく、もはやテロ集団のようでもある。当時の時勢の陸軍内にありながら、学校が軍に対して懐疑的であるのも、アジアを欧州から解放すると言いつつ占領する言い分が詭弁めいて聞こえるのも、些か美化されている気がしなくもない。
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