リンキーオーヘン

アビス/完全版のリンキーオーヘンのネタバレレビュー・内容・結末

アビス/完全版(1993年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

本年4月にようやく本当の意味で完全版
となる「4K UHDエディション」が発売
されました、同包されてるBlu-rayでも
充分に満足出来る解像度と内容です
(UHDを再生出来る機器を持ってない)

「ターミネーター」「エイリアン2」と
立て続けにヒット作を世に放ち一気に
脚光を浴びたJ•キャメロン監督の意欲作
公開当時、興行的にはパッとしなかった
のですが当初の140分に後年カットされた
シーンを追加し170分となった「完全版」
が公開された事で再び注目を集めて評価も
見直されることとなりました
このレビューも「完全版」への評価に
なります

事故により海底へと没した米原子力潜水艦
の救助作業を依頼されたのは付近の深海で
油田の掘削作業をしていた技術者バットを
リーダーとする作業員たちで、急遽掘削
リグへ乗り込んできた軍の救助チームとの共同作業となった、その中にはリグの設計者でバットの元妻リンジーが加わっていた

様々な作品で印象深い役柄を演じる名優
E•ハリスが男臭いバットを演じています
バットとは腐れ縁なリグの設計者リンジー
には「ハスラー2」でT•クルーズの恋人役
で注目を浴びたM•E•マストラントニオ
海軍特殊部隊のリーダー役をキャメロン
作品の常連だったM•ビーンが魅せます!

“ 働く現場 ” 然としたリグの様子は過酷な
深海での作業の厳しさを物語っています
監督の拘りが詰まった設定とストーリー
展開に観ている者も一緒にリグにいる
ような感覚になります

徒労に終わる救助作業だが、その作業の
最中に彼らの前に謎の発光物体が出現し一気に緊張が走るのです…

ここから物語は急展開を見せピリピリした空気がリグに充満していく、前半の細かい
伏線が広がり、危うかったバランスが崩れ
たときから矢継ぎ早に見せ場を畳み掛ける
見事な演出です

-- ここから重要なネタバレがあります--

狂気に駆られた特殊部隊のコフィが原潜
から回収した核弾頭を作動させ未知の相手
へ攻撃を仕掛けてしまうのです!
水中ドローンに積まれた核弾頭が海溝の
深部へ沈降するのを阻止しようとする
クルーと邪魔するコフィとの攻防
単身で深海用潜水服を着装して爆発を
食い止めるべく潜り始めるバット…

制作時に最先端技術だった “ 液体呼吸 ”
などの科学的なアプローチで物語に深み
を与え、新たな特殊技術(CG)が観る者
を驚嘆させる

朦朧とした意識のバットがようやく
核弾頭を捉えるのだが照明灯の輝きの中
切断するコードの赤と青が区別できない
絶望的な状況を考えたキャメロンは偉い!

そして満を越して“ 深海人(?)”の登場
ここからは「通常版」と「完全版」では
ガラリと印象が違ってくるのです
深海(アビス)で独自進化を遂げた生命体
人類の愚行が自らの存亡にも関わると
地上への攻撃を開始するのですが、バットを通して人間の深い感情や多様性に触れて
思いとどまるのです
見上げるほどの大津波が海岸線ギリギリで
停止する大スペクタクルシーンは圧巻!
メッセンジャーの役割を与えられたバット
や機能不全の海底リグとクルーを乗せて
浮かび上がる海底都市のスケール感!
座礁しちゃう海軍の艦船からもその巨大な
姿が比べられます

「通常版」しか観ていない方はぜひ!この
「完全版」を観てください
作品の印象がガラッと変わってしまいます