囚人13号

手錠のまゝの脱獄の囚人13号のレビュー・感想・評価

手錠のまゝの脱獄(1958年製作の映画)
4.0
これまた辛辣な一本。クレイマーって正直微妙なんだけど、社会的地位の高い者や集団を悪とするレッドパージからの潮流は悪くない。脱走犯である事を建前にポワチエ(黒人)だけを殴る町民を登場させることで人種差別の正当化も討つが、やはり説教臭さは拭えないかも。
男を鎖で繋ぎ共同体とし、逃げる=走るという運動をシンクロさせてることよりも黒人と白人を表裏関係にもってくる図式が大切なのかと。

ただ序盤の川渡りは先方を黒人が行くし、穴からの脱出も自ずと彼が下から支えているようなさりげないところで格差を見せつつ、殴り合ってからは立場が対等になる。
クライマックスの列車シーンではそれが完全に逆転するが(そのためにカーティスが撃たれたのか?)、ラストは格好からわかるように今度は黒人の方から対等に戻している。

反抗的なエンディングは結構好きで、裏返るポワチエの歌声めっちゃかっこいい
囚人13号

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