terusuk

羊たちの沈黙のterusukのネタバレレビュー・内容・結末

羊たちの沈黙(1990年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます


小説を作品化したものにも関わらず、映画単体として高い完成度を誇る作品であった。
この作品はプロファイリングの面白さを教えてくれた。
そして、アメリカにおける猟奇的殺人事件の恐ろしさを作品化してくれたパイオニア的な作品だ。

映像は当然ながら良く出来ていて、レクターという殺人鬼のスクリーンデビュー作に相応しい斬新な雰囲気に満ちている。
闇の使い方、音楽の使い方、非常に凝ったものである。

が、ストーリー自体はレクターは本筋に絡まない。
クラリスが追うのは飽くまでもバッファロービルという男である。
それを補佐してくれるのがレクターという位置づけ。
ここが、今見るとどうにも歯痒いのだ。
連作サスペンスの1作なので仕方がないことだが。

それにしてもアンソニーホプキンスの演技には感服。
受け手のジョディフォスターも素晴らしい。
この2人の演技が突出しているので、他の役者の芝居が入ってこない。
だからどうしても本筋がどうでもよくなるのだ。

レクターの猟奇的なところをもっと見たいなぁと。

しかしレクターというキャラはよく出来ている。
ハンニバルライジングで明らかにされた部分も含めてキャラクター造形という点では非常に興味深い。
インテリジェンスに溢れ、エレガントな物腰、鋭い眼光、そして猟奇的な蛮性。
異常性に満ちている。
それが実に自然にミックスされて、破綻なく存在しているのだ。

シリーズ最初の作品でありながら、最高の作品。
作中の順番に制作されなかったのが吉と出たのだろうか。
キャストにも恵まれ、名作となった。
terusuk

terusuk