喵來

夜と霧の喵來のレビュー・感想・評価

夜と霧(1955年製作の映画)
4.8
「都市」は見捨てられた。

いかに収容所が一つの都市として機能していたか。当たり前だけど収容所建設の利権とかあったし、実験のための囚人売買とか「経済」も動いて。
その中で工場所内動物園温室孤児院怪我人専用棟カポ用売春宿諸々さまざまな都市施設があり。トイレが組織結成の場・闇市etcレジスタンスの地下になるわけで
生産性の工場建設のためにも多く死ぬわけで

その生産性のための開発も一つの経済。毛髪は毛布に加工、骨は肥料に、死体はせっけんに、皮膚は。。


55年だからまだアウシュビッツの景色が荒涼としている。
無関心な秋の空、ただそこにある月と霧、無言の長回し、お心に重くのしかかる。他人事じゃない遠い出来事じゃないってメッセージにいい仕事してる。

初期は人数の目星もついたし空間に限りあったしゲットーもあったしで貨車はそこそこ空いてる、てのがちょとびくり。

でこの10年後にならないとアウシュビッツ裁判に注目はこないし、もっとたつと修正主義も出て来るし。ああ人間って。
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