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メリー・ポピンズのi9のレビュー・感想・評価

メリー・ポピンズ(1964年製作の映画)
4.0
【フリーランスか?会社員か?】
前半は幼児向けの退屈な映画かと思ったが、会社という「じゅうたん敷きの檻」に囚われた孤独な大人を救ってくれる映画だった。日々仕事を頑張る社会人は涙なしでは観られない。



「考えてごらん。お父さんは気の毒な人だ。毎日ぞっとするほど冷たい銀行で、冷たいお金に囲まれている。檻の中にいるんだ。銀行の形をしたじゅうたん敷きの檻だよ」



存在は知っていたが実は観たことなかったディズニー映画。なかなかディズニー系ってディズニープラスに入っていない限り観れないし観ようとも思わないけど、今年のハロウィンはディズニーでメリポピ仮装合わせをやろっかな〜衣装可愛いし!という軽いノリで鑑賞。Amazonで課金しました。お高め。

オープニングから、「お、このディズニーで流れてる曲メリポピなんや!」と思うものばかりでアガる。

内容もシュールだが、幼児向けすぎて正直退屈。アニメーションと実写の融合とシーンは尺が長すぎるしストーリー性がなく意味がわからないし「インフルの時にみる夢か?」となりパニックになり思わず寝落ち。赤ちゃんは情報量が多いとパニックになり寝てしまうというがまさにそれ。私は赤ちゃんなのかもしれない。

気を取り直して、ひとりで真剣に観ずにこれは家族みんなで流し見をするのことに。これがおそらくディズニーミュージカル映画の本来の楽しい鑑賞方法なのであろう。不思議アニメーション世界も楽しみつつ、煙突ダンスもそれで無事に乗り切ることができた。


後半につれて視聴者は「パパ」と「バート」という二人の男性の対比に気がつく。

パパ…ロンドンのメガバン役員。給料は良いが家でも常に怒っていて仕事も辛そうで余裕がない

バート…フリーランスのその日暮らし。お金はないがストレスもなくいつも笑って楽しんでいる。楽しみながら好きなことを仕事にしているので仕事中も楽しそう


パパはひとつ屋根の下で子どもと暮らしているはずなのに、子どもに対して怒ってばかり。
子どもたちは夜に外で他人で何処の馬の骨かもわからない日雇い労働者のバートとの方が話す時間遊ぶ時間が圧倒的に多い。(パパはそれを知らない。よく考えたら普通に危ない。事件。)

そして子どもたちは「いつも怒ってばかりいるからパパは僕たちのことが嫌いなんだ…」とバートに相談。よくある誘拐事件ならバートが「じゃーおじさんと生活する?(ニチャア)」となるところだがディズニー映画なのでその展開はない。それどころかバートの返答が良すぎる。。。

「考えてごらん。お父さんは気の毒な人だ。毎日ぞっとするほど冷たい銀行で、冷たいお金に囲まれている。檻の中にいるんだ。銀行の形をしたじゅうたん敷きの檻だよ」

タハーーー!


本作『メリーポピンズ』において主人公はメリーポピンズではなくバンクス一家だ。

メリーはあくまでもナニーとして脇役で家族をサポートするだけでありメインではない。子どもたちもメリー大好き!!!メリー最高!!!とはならないところがいい。

メリーポピンズへの挨拶もなく、家族が凧をあげに行くあれもまたとてもいい。

どんなに素敵な魔法が使える魔女よりも家族の繋がりは強いんだなというメッセージが込められているはずだ。
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