ホリ

ある子供のホリのレビュー・感想・評価

ある子供(2005年製作の映画)
3.8
やはり、『手持ち』と『音』という情報源のピックアップ(引き出し)が印象的といったところだ。
ファーストシーン、若い女性がアパートの階段を上がる手持ち映像からスタートする。
そこで赤ちゃんが大声で泣きわめく音も導入されており、赤ちゃんを抱えた女性が、慌しく自分の部屋に向かっていることが分かる。

このファーストシーンでは、
更に登場人物の情報源を引き出しており、女性がドアをノックすると、見知らぬカップルが自分の部屋から出てくる。
カップルは『借りている』という一言だけ発し、それを察する彼女の様子から見ても、同居している彼が、日常茶飯事で金になるための行動を取っていることが読み取れる。

このファーストシーンの安易な行動が、後々の『赤ちゃんをお金で売ってしまう』という無責任の人物像・彼のイメージ像の合点に繋がっていく。

主人公の彼が無責任とも言える面は、
『一度売った赤ちゃんを返してくれないか?』という計画性がない発言と行動でも強く主張されている。

ラストシーンの彼の涙は、
個人的には全くハマらず、心の底から、強く泣いていることは理解できるが、あまりにも彼が無責任・自業自得という場面を散々見てきていたので、彼女の涙には感じるものはあったが、彼の涙には強く感情移入することは出来なかった。
ホリ

ホリ