ぐるてん

クローバーフィールド/HAKAISHAのぐるてんのレビュー・感想・評価

4.9
ニューヨークに突如現れた"何か"から逃げるPOVパニックムービー。

めちゃくちゃ面白いなこれ。
凄くよく出来てる。

まず、大体こういうのってどうでもいいラブストーリーと並行して進むんだけど、大概は逃げながらもラブストーリーに進展があると無駄な演出が入って、その度に本編が進まなくなるからイライラする。
しかし、本作はラブストーリーが邪魔になってない。それは序盤で"何か"が出てくる前にじっくりとお膳立てをして、それからは余計な展開を設けないからだろう。

次にとにかく逃げる。こういう映画で本当に観たいのは"何か"から逃げ続けて、助かるのか?助からないのか?その結末だと思う。その点、この映画は誰が死んでも立ち止まらずに逃げる。イチャつかないで逃げる。走りながら感傷に浸る事で本編のストーリーが止まらずに進んでいく。

そして、必ず出てくる「もう無理!これ以上走れない!」とか言う奴がいない。そこで頑張って走るように説得したり、何処かで休む提案をされると、このパニック状態からどう脱出するのかという流れが止まる。あれが茶番だと良く分かっている。

最後に変な出会いがない。日本でこれが作られたら逃げた先で変なコミュニティと出会い、そこには性格の悪いリーダーや親切な人がいて、本編そっちのけで極限状態に陥った人間の恐ろしさや裏切りを見せたがる。そして「結局人間が一番怖い」とか言い出すんだけど、そういった無駄な展開も無い。

本作はこの手の作品でストレスになる"有る有る要素"を排除して、"何か"の恐怖とそれから逃げ続けるというシンプルながらも一番見たいところに特化している。だから「こういうので良いんだよ」感がハンパない。

あと、POVってカメラを途中で止めて映像が飛んでも違和感が無いのが発見だった。そして楽しかった思い出に絶望を上書きしていく演出も最低で素晴らしい。

強いて言うなら、ハッドが登場時はダメキャラだった気がしたんだけど、どんどんキャラ変していった気がする。

それでもこれはPOV映画としてはトップクラスで面白かった!
ぐるてん

ぐるてん