TSUTAYAに取り寄せてもらったフィリベール作品はとりあえず全部観ました。
フランス中部、オーベルニュ地方のド田舎、全校生徒10人強な小学校で、20年にわたって一人で教鞭を振るってきたジョルジュ・ロペス先生と、個性豊かな生徒たちの日々を追った、かなりドキュメンタリーらしいドキュメンタリー。
密着と言う姿勢は本作でも取られているけれど、同時に借りて来た二本とは違ってほとんどフィリベール自身が介入することはなく、題材を題材のまま活かした作品と言っていいと思う。
本当に些細な喧嘩、子供たちの会話から垣間見える家庭の事情、何気ない季節の移り変わりと山村の自然風景、それら全てが本当に何でもない、ロペス先生と子供たちにとっての日常そのものであり、そこに演出と呼べる類のものが介在する余地はない。
優しさと善意に満ちてはいるけどドライで、ドライだけどロペス先生の生徒たちに向き合う強さ、そんなものは伝わるし、それだけを伝えることに特化した作りだと思う。
そんな、淡々とした、かくあるべきとでも言うべきドキュメンタリーだった。
本国フランスでは公開時に動員数200万人越えの超大ヒットを記録したらしいが、こういう本当に何気ない一コマを淡々と描く作品がここまでヒットするのもフランスと言う国の性格なんだろうか。