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バニシングIN60”の一人旅のレビュー・感想・評価

バニシングIN60”(1974年製作の映画)
3.0
H・B・ハリッキー監督作。

自動車窃盗団のボス、ペイスと警察の追走劇を描いたカーアクション。
2000年にニコラス・ケイジ主演で製作された『60セカンズ』のオリジナルに当たる作品。リメイク版は未見なので比較はできないが、本作最大の特徴は長時間(約40分)に渡って繰り広げられるペイスと警察の激し過ぎるカーチェイスにある。
ペイスの運転する黄色のマスタングの背後から、数十台の警察車両が一斉に押し寄せてくる映像は迫力満点。マスタングの通過した道路では交通事故が次々と発生し、車両同士のクラッシュ、横転、多重事故の連続で負傷者多数。運転不能となる車両が道路に散らばる中、マスタングの異常なタフさが際立つ。車体全体がボコボコになりながらも執念で逃げ続ける。たとえ車販売店の敷地内に追い込まれても、小さな隙間を突いて強引に逃走を図るのだ。
廃車のような外見に変貌したマスタングを見たガソリンスタンドの女店員が、“ワックスかけますか?”と確認してくるシーンが最高に笑える。平然と“いや、洗車だけでいい”と答えるペイスのとぼけた姿がこれまた笑える。
カーチェイス自体は迫力&スピード感に満ちていて見応えたっぷりだが、基本的には同じような映像の繰り返しで変わり映えしないので、途中で少しダレてくるのが難点。それでも、マスタングの大ジャンプをスローモーションの繰り返しで捉えた演出などもあって、単調になりがちなカーチェイスに一定の見せ場を作っている。
また、監督兼主演を務めたハリッキーが見せる、体を張ったスタント&ドライブテクニックは圧巻。幾多存在する70年代カーアクション物の中でも、本作は車を魅せることに特に拘り抜いた作品だ。
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