mimocyan

恍惚のmimocyanのレビュー・感想・評価

恍惚(2003年製作の映画)
3.4
長年連れ添った夫が浮気。妻のカトリーヌは、その事実に狼狽し意気消沈するのだが、やけ酒を煽りに衝動的に入った娼館にて、彼女はマルレーヌという娼婦に出会い、ある企みを思いつく。
それは、彼女に夫を誘惑してもらい、その情事をこっそりと報告させる、というものだった…。

さて、このお話。
濡れ場は全くなく、夫とマルレーヌの成り行きはナタリー(マルレーヌの偽名)からの告白でのみ描かれる。
故に、観てる側にある可能性を抱かせつつ話が進むわけですが、展開としては、予想外のことも起こらずこの手のものにしてはかなり平坦。
しかしながら、この企みのなかで垣間見る女たちの姿はなかなかに見所あり。秘めた心情への直接的な言及をことごとく排しながらも、キメの細かい演出が無言のうちにストーリーに深みを与える。タネがあかされることで、夫の(間違いはおかしたにせよ)妻を思う気持ちも浮き上がってきて、しっとりと余韻を残す大人なテイスト。
女たちの孤独が、ゆらりと揺れる。
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