垂直落下式サミング

劇場版 BLEACH ブリーチ MEMORIES OF NOBODYの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.9
BLEACH劇場版第1作目。
テレビアニメが放送されて作品がより広い層に認知され、キャラクターの関連グッズなども売り出されて、ジャンプの看板のひとつとなった人気絶頂期に製作されたファンサービスとしての意味合いが強い劇場作品なので、ストーリーうんぬんよりも、観客をキャラ萌えに耽溺させることに重きがおかれており、その割りきった試みが概ねいい効果を生んでいる。
原作漫画は、女の子への容赦ない暴力描写が見所でもあり、腹部を内臓ごと抉られたり、体内に侵入した寄生体に生命力を吸いとられたり、生きたままゾンビにされたりと、少年漫画にしてはギョッっとするようなスプラッターが平気で描かれているのだから、本作もヒロイン茜雫の不憫さをもっと悲惨でエグいくらいに突き放しても面白くなったと思う。
人気キャラクターたちの活躍によって事態が収束し、物語がわりと綺麗な結末をむかえてAqua Timezの主題歌が流れ始めたら何となくいい映画を一本観終えた気分になれたので、悪くなかったと思う。
思えばBLEACHは初期から「囚われた女の子を助けるはなし」と「イレギュラーな存在が、その呪われた運命を受け入れるはなし」を繰り返してるんだなぁ。久保帯人という作家にとってそれがメインテーマなのかもしれない。
久保帯人作品は、単行本でイッキに読むより「全然すすまねえなぁ」とか「まだここやってんのかよ」とか「一言に1ページ使うんじゃねえよ」とか言いながらも、何だかんだ毎週読み続けてしまう粋な娯楽なので、また連載してほしいです。