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1975年3月4日、英国王室はチャールズ・チャップリンに「ナイト」の称号を授与しました
世界中で愛され続ける彼の作品の中でも、初の長編サイレント映画として知られる『キッド』を鑑賞しました
本作は、監督・脚本・主演をチャールズ・チャップリンが務めています
物語は、一人の女性(エドナ・パーヴァイアンス)が赤ん坊を抱え、慈善病院を後にする場面から始まります
恋人である芸術家に捨てられた彼女は、途方に暮れた末、大きな屋敷の前に停めてあった車の中へ赤ん坊を置き去りにします
しかし、その車が二人組の泥棒に盗まれたことで、赤ん坊は貧民街へと捨てられてしまいます
そこへ、チャップリン演じる浮浪者が通りかかります
彼はなんとか赤ん坊を押しつけようと試みますが、足の不自由な男性や乳母車を押す女性に断られ、困り果てます
やがて赤ん坊に添えられた母親の手紙を見つけ、「この子をよろしくお願いします」という切実な願いを目にした彼は、意を決して赤ん坊を育てることを決意します
こうして偶然の出会いから始まった二人の生活は、やがて深い絆へと変わっていきます…
本作は、笑いと涙が交錯するヒューマン・コメディであり、親子の愛情を深く描いた名作です。
冒頭からチャップリンは、あの独特の歩き方で登場します
赤ん坊を見つけた瞬間、何度も空を見上げ、「はて、上から落ちてきたのかな?」とでも言いたげなコミカルな動きを見せ、観客の笑いを誘います
やがて赤ん坊は成長し、キッド(ジャッキー・クーガン)として、父親代わりの浮浪者であるチャップリンとともに暮らすようになります
この作品の見どころは、チャップリンと少年のユーモラスで温かいやり取りにあります
二人で分け合いながら食事をする場面では、親子の仲の良さが感じられ、思わず微笑ましくなります
時には、よその親子と喧嘩をすることもあり、はたき合いながら戦うシーンはコミカルで笑いを誘いました
一方で、二人の生活は決して楽なものではありません
貧しさゆえに、窓硝子をわざと割り、その硝子を売るという後ろめたい仕事をすることもあります
それでも、チャップリンはキッドとともに肩を寄せ合い、懸命に生きていきます
しかし、そんな日常も長くは続きません
キッドが孤児院へ連れて行かれそうになると、チャップリンは必死に抵抗します
その姿には、親が子を守ろうとする強い愛情がにじみ出ており、胸を打たれます
チャップリンとキッドが頬を寄せ合い、抱き合う場面は、観る者の心を揺さぶり、涙を誘います
まるで本物の親子のような二人の関係は、深い感動を与えました
物語は、当時の社会を反映するかのように、
貧しさから赤ん坊を捨てざるを得なかった母親と、貧しくとも必死に育てようとする見ず知らずの男性の対比を描き出し、観る者に深い余韻を残します
キッド役のジャッキー・クーガンの演技も見事で、当時わずか6歳とは思えないほどの表現力を発揮しています
彼の愛らしさと演技力が、本作の魅力をさらに引き立てています
チャップリンとの掛け合いも自然で、まるで実際の親子のような温かさを感じさせます
『キッド』は、チャップリンの才能が存分に発揮された作品であり、喜劇の中に人間ドラマの深みを織り交ぜた名作です
笑いと涙、親子の絆、そして愛情の大切さを見事に描き出しています
チャップリンの映画には、時代を超えて共感できる普遍的なテーマが込められており、本作もまた、観る人の心に深く刻まれる作品です👼