ちろる

あの日、欲望の大地でのちろるのレビュー・感想・評価

あの日、欲望の大地で(2008年製作の映画)
3.7
ジェルモ・アリアガ監督として長編デビューとして作り上げた壮絶すぎる愛と罪のラブストーリー。

自暴自棄の役でも圧倒的な美しさを備えたシャーリーズ・セロンと、50大半ばでも色気の溢れるキム・ベイシンガーに10代のジェニファー・ローレンスを加えた3大オスカー女優による迫真の演技により、どのシーンも目が離せない。
『娘』、『妻』、『母』、そして『女』。

どこからどこまでも女の物語を描くのには十分すぎるキャスティングである。

過去と未来、ふたつの時代を交差させながら、因果や因縁とともに運命がつながっていく。

トレーラーハウスで許されぬ情事にふける男女が爆死する
衝撃的な事件がもたらしたふたつの家族の悲劇。
そしてそれを目の当たりにしたそれぞれの子供である思春期の男女はなぜ惹かれたのだろうか?

元々全てが必然だったと思いたくはないが、親同士の愛欲を知る事で2人はどうしようもなく惹かれ合うことになるという矛盾がやるせない。

きれいごとなどこの世にはどこにも無くて、人はひたすら弱く、それが結果的に深い絶望も逆に深い愛情も作り出せるように、彼らの背負う罪と愛がやがて一本の線となり、あの乾燥した大地で渇望していた欲望にかすかな息吹を与えたと思いたい。
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