らさぐらむ

東京裁判のらさぐらむのレビュー・感想・評価

東京裁判(1983年製作の映画)
4.0
第二次世界大戦後に開かれた、日本の指導者たちの戦争責任を問う極東国際軍事裁判、通称「東京裁判」を軸に、当時の世界情勢を記録したドキュメンタリー。

ミニシアターで鑑賞。
途中10分の休憩を挟み、上映時間は4時間50分。

非常に良くできたドキュメンタリーだと思った。
冒頭に書いた通り、本作は東京裁判を追っただけのものではなく、日本が中国侵攻や三国協定で世界から孤立する「前史」を描き、ドイツやイタリアを取り巻くヨーロッパの社会情勢をも扱っている。

大学時代のゼミが歴史学系で、担当教授の研究テーマが東京裁判だったこともあり(私自身の卒論は全く関係のないテーマだったが)、特に目新しい発見があったわけではないものの、アメリカ人弁護士たちをはじめ、戦争により日本に対する憎しみがあって然るべき人々が、法の下ではその職務を全うするプロフェッショナルに感動した。
描き方も割と中立で、批判的に描写せずにあくまで事実を撮った作品だと思った(まあ、平和に対する罪って結局どう扱われたの、とか、アジア諸国での戦争犯罪はどの程度扱われたの、とか、そういう批判的考察は本を読めってかんじなのだと思うが)。

戦後75年以上が経ち、もはや日本において戦争を意識することは無いと思うが、日本は敗戦国なのだと強烈に突きつけられた気がした。
玉音放送における「堪へ難きを堪へ、......」の重みが増すというか、負けるとはこういうことなのだと見せ付けられた気がした。

2021-068(030)
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