モスマンは実在する

フェリーニのアマルコルドのモスマンは実在するのレビュー・感想・評価

フェリーニのアマルコルド(1974年製作の映画)
2.5
ギャグで紡がれる日常と戦争の不穏な影。「ストーリーよりもギャグの連発で描かれていくかけがえのない日常」というところは「菊次郎の夏」など北野武監督作を連想させられた。
唐突に始まるエロ妄想パートがくだらなくて良かった。新米女教師にセクハラする男子中学生のようなノリの少年達。「聖アントニウスの日は女性の尻を見に行く」のくだりはギャグとして笑えた。思春期のガキは基本的に日常の全てのシチュエーションを妄想として自分用にカスタマイズすることができる。そんななかムッソリーニの国家ファシスト党の訓練に参加させられている最中に妄想が展開されるところなどは戦争という異常事態が少年達にとっては日常と化している危うさが描かれていてよかった。
作品全体としても、ただ「面白おかしい日常」というわけではなく、はかない日々を楽しんでいくための人生観のようなものが感じられた。