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モンテ・ウォルシュの一人旅のレビュー・感想・評価

モンテ・ウォルシュ(1970年製作の映画)
3.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
ウィリアム・A・フレイカー監督作。

西部開拓時代末期を舞台に、二人のカウボーイが辿る運命を描いた西部劇。

東部から資本主義の波が流入してきた西部開拓時代末期のアメリカを舞台にした異色の西部劇。モンテとチェット、二人のカウボーイが東部の大企業が所有する牧場に雇われる。牧場では彼らと同じカウボーイたちが一緒に働いていたが、資本主義の波が彼らカウボーイにも容赦なく押し寄せる。カウボーイという生き方が確実に廃れつつある時代の中で、モンテとチェットは新しい時代に適応した生き方を模索していく。チェットは金物屋の未亡人と結婚し、店を引き継ぐ形でカウボーイを引退する決意を固める。一方のモンテはカウボーイとしての生き方を捨てきれず、恋人と結婚する決断を下せないまま時間だけが無常に過ぎていく…という“開拓時代末期のカウボーイの人生模索”を、変わりたい二人を襲う予期せぬ悲劇と壮絶な復讐劇を絡めて描き出した作品。

無法者を銃で成敗するガンマン(カウボーイ)主役の時代が終焉を迎えつつある中で、時代に適応するため生き方の変革を迫られるモンテとチェットの姿には西部劇らしからぬ哀愁が漂います。西部劇なのに終盤まで銃が活躍する場面は訪れませんし、訪れたとしても“カウボーイとしての生き方に区切りをつける”意味合いが敵・味方双方で強いため、決して爽快・痛快な決闘劇ではありません。時代の敗者が味わう哀しみと虚しさがそこにはあります。

主演は硬派の代表格リー・マーヴィンとジャック・パランス。無法者を圧倒しそうな最強の見た目とは裏腹に、時代に取り残され悲哀に満ちた繊細な演技を魅せています。リー・マーヴィンの相手役には、2017年に89歳で死去した名優ジャンヌ・モローが扮しています。『死刑台のエレベーター』(1957)『恋人たち』(1958)『夜』(1961)『突然炎のごとく』(1961)『小間使の日記』(1963)『大列車作戦』(1964)『ビバ!マリア』(1965)『マドモアゼル』(1966)『黒衣の花嫁』(1968)など数多くの名作に出演したフランスを代表する名優です。憂いを含んだ表情の演技が印象的な女優さんでした。
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