アキラナウェイ

東京ゴッドファーザーズのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

東京ゴッドファーザーズ(2003年製作の映画)
3.9
年内最後の投稿になります。

今年観た作品は370本(未レビュー作品は14本)。昨年の365本より5本多い鑑賞数で着地。大作は軒並み延期が決まる中、(緊急事態宣言解除後)ミニシアター系の作品は毎週の如く通い詰めたし、何せ引き篭もってサブスク三昧で沢山の作品と出会えた1年でした。お祭りもいっぱい出来たし。

今年最後のレビューは、大晦日に相応しいこちらの作品を。フィルマのお友達から強く勧められた事もあって鑑賞。

自称・元競輪選手のギン、元ドラァグ・クイーンのハナ、家出少女ミユキのホームレス3人が、ゴミ捨て場に捨てられていた赤ん坊を拾う。その子に「清子」と名付け、自分で育てると言い張るハナを説得し、3人は清子の実の親探しに奔走する—— 。

今敏監督作品を観るのは2作目。
やっぱりクオリティは高い。

くるくると変わるキャラクターの表情が魅力的だし、重さを感じさせる身体の動きがリアル。師走の慌しい新宿の街並みの猥雑とした雰囲気が実に見事に描かれている。

三者三様に訳ありの過去があり、赤ちゃん騒動のドタバタ劇の中で、背負っている悲哀がちらりと顔を見せていくドラマ展開が絶妙。

皆んな色々あるんだよなぁ。

テンポ良く進んでいく物語の中で、前述の通りの人生のほろ苦さを描きつつ、ヤクザ、南米からのヒットマン、ホームレス狩りの少年達と、社会の闇に巣食う人達まで出て来るのに、それでいて暗くならずに終始楽しい。3人のホームレス達が、何だかんだと喧嘩しながらも、その内面は明るく、温かいから。

巡り巡って、あの人もこの人も繋がっていく。

描かれるのは、親子愛、隣人愛。

満員電車で、その悪臭から文字通りの鼻つまみ者とされる彼らが起こした奇跡の物語は、出来過ぎなぐらい美しく纏まっているけど、全然厭味がなくて、観賞後の満足度は高い。

これは、良い年越しが出来そうだ。
来年の12月には子供達にも勧めてみようっと。
(多分却下されるけど…)


余談。
今年もやります。
第2回アキラデミー賞(Akirademy Awards)!!
ま、昨年と同じくノリなので作品賞のみですが。


第2回アキラデミー賞(Akirademy Awards)

ノミネート作品

●パラサイト 半地下の家族

●ジョジョ・ラビット

●1917 命をかけた伝令

●ミッドサマー

●異端の鳥

●TENET

●燃ゆる女の肖像


…第2回アキラデミー賞、作品賞は…!!

🏆ジョジョ・ラビット🏆

はっきり言ってどれも良い!!特に「パラサイト」は完璧な作品だと思うので、この2つで迷ったけど、最終的には好きかどうかで決めちゃいました。「ジョジョ・ラビット」は、楽しさと哀しさとが共存しつつ、かつ愛すべきキャラクター達が決め手に。いやもう、ぶっちゃけヨーキーだ!ヨーキーが好きだ!!「TENET」も勿論良いけど、今回のノーランは内容が難し過ぎたかな。寝込むぐらいの重さの「異端の鳥」や、情緒や芸術性で言えばダントツの、年末に駆け込んできたダークホース「燃ゆる女の肖像」も素晴らしい。

来年はどんな映画と出会えるだろう。
皆様にも素敵な映画との出会いがありますように。

それでは、良い年をお迎え下さい。