蛇の道の後日譚。
娘の復讐をはたした哀川翔に昔の友人だったダンカンが「俺と仕事をしないか」と話しかける。彼は殺人を請け負う会社をしていた。
たんたんと人殺しをする哀川翔とダンカン。彼の部下たち。ただし徐々に時代は悪くなっていき、ある日「ダンカンを殺せ」という指示が出される。
蛇同様苦しい作品。中盤はちょっとユーモラスにえがかれているけど(釣りするシーンなんか大好き)それは確実に破滅に向かっていくユーモラスなの。そしてそのことは皆わかっている(観ている僕らまで)。
そして当たり前に来る破滅。ああ、やっぱりと思いながらもここが刺さるよね。似ているのは北野映画。決して人の死をドラマチックにしない。むしろ無慈悲に当たりまえな感じで人が死んでいく。
またそこを撮る黒沢が上手い。あえてロングショットにしていつのまにか殺される(これは蛇の道も同じ)。鳥肌がたつ。
二人は友人でとっても楽しそうなのにその後はなぜか殺されるダンカン。そこの理由は観ている人それぞれであるだろう。信じているからこそ殺したのか。あるいはそもそも信じてないのか。僕は結局殺すことでしか前に行けないんじゃないかと考えてしまった。多分多くの解釈があるはず。そしてそれぞれが「生きる」理由かもしれない。
最後、仲間の女に石を投げ血だらけにし、そして気遣うように声をかけ。
でもやっぱり殺す。わかっているけど怖い。
前作に比べると失敗という声も聴くけど僕は好きな作品。怖い映画はお金をかけなくてもできるという良い見本ですぜ。