うかりシネマ

蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳のうかりシネマのネタバレレビュー・内容・結末

-

このレビューはネタバレを含みます

『蛇の道』の続編で、復讐を完遂した新島のその後が描かれる。新島は殺し屋になり、業務として淡々と人を殺すようになる。

旧友・岩松の雰囲気や、ダンカン、大杉漣、寺島進といった北野組の出演者から『ソナチネ』を彷彿とさせるが、全体的に「面白くないソナチネ」という感じ。
前作の際限ない暴力(そして逆説的な否定)は北野映画の引用として成立していたが、本作ではただ劣化させているだけ。新島の設定も前作から地続きではなく、続編感は薄い。

しかし、本作のテーマは前作とは無関係な(それでいて前作が必要な)「続編」そのもののメタにある。復讐を終えた新島は、蛇足である本作に重ねられる。
だが、終盤の問答こそ面白いが、その結論のために映画一本を使われても……。

軽めのホラーとして演出される妻のパートは、不気味でないながら怖い独特の空気感が面白いが、本作で描きたいものの本質だとは感じない。
岩松のキャラも悪くないが、牽引するほど魅力的ではないし、前作の宮下と新島の関係性には及ばない。