【第61回ヴェネツィア映画祭 金獅子賞、女優賞】
『秘密と嘘』マイク・リー監督作品。ヴェネツィア映画祭コンペに出品され、金獅子賞を女優賞をW受賞した。アカデミー賞では監督賞など3部門にノミネートされた。
マイク・リーはどうしても合わない。『ハリー・ポッター』アンブリッジ先生役で知られるイメルダ・スタウントンの演技は素晴らしかったが、いささかさらっと流しすぎてこちらにあまり伝わってこなかった。
もちろん堕胎幇助というテーマは重要なものだし、現在でも問題になることでもある。金獅子賞にこれを選ぶという意図は理解できるのだが、マイク・リー監督の演出がどうもハマっていない気がする。
台本を用いず即興で映画を作っていくというのがマイク・リーのいつもの手法だが、流石に本作はある程度台本はあったはず。それにしてもさらっとしすぎている。イメルダ・スタウントンの熱演は賞賛すべきだが、彼女がなんとなく浮いてしまっているように感じたのだ。
非常によく出来た作品なのは間違いないが、マイク・リーの演出、演者の演技というのが乖離しているように思える。テンションが全く違うというか。
重要なテーマを慎重に扱っているし、非常に誠実な映画だとは思う。しかしこちらに迫ってくるものがあまり感じられなかった。これはこれで評価する人はたくさんいると思うが、やはり個人的にマイク・リーは合わない。