佐藤克巳

あゝ青春の胸の血はの佐藤克巳のレビュー・感想・評価

あゝ青春の胸の血は(1964年製作の映画)
4.5
森永健次郎監督の舟木一夫がいつものキューピットの役割の小さい甘っちょろくない青春映画の佳作。和泉雅子は、「非行少女」の系譜を引き継いだ不良少女を演じたが、おもちゃ工場では阻害され、呑助菅井一郎の叔父から虐待を受け、男仲間からヤクザに売り飛ばされ、車に轢かれたが、大学ボート部員山内賢の父東野英治郎に引き取られ窮地を脱す際どい展開に最後の最後にホッと息ついた。荒川の川向に対象的に工場街とボート合宿所があり、和泉と山内が出会う一連の風景描写が素晴らしいが、霞ヶ浦の水郷風景の長閑な光景は美しく誇らしかった日本の原風景として貴重な映像だ。しかも早稲田のキャンパスも懐かしく郷愁に誘われたし、部員達の結束も見事だった。
佐藤克巳

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