Wakana

アラバマ物語のWakanaのレビュー・感想・評価

アラバマ物語(1962年製作の映画)
3.8
グレゴリー・ペック演じる弁護士のアティカスは、2003年に行われたアメリカ人が選ぶアメリカ映画のヒーロー部門にて第1位を獲得したそう(ウィキペディアより)。スーパーマンやスパイダーマンも抜いてしまうあたり、「ザ・アメリカ人の良心」ということなんでしょう。確かに裁判の演説シーンは見てる側も胸が熱くなるというか、「真のアメリカ人なら正義は何たるか分かっているはずだよな!」みたいな、愛国心を掻き立てられるような感じがする。

そのシーンだけじゃなくて、映画の所々でも「ステレオタイプのアメリカ」の匂いがぷんぷんする。トムやハックルベリーを思い出すデニムのサロペットとか、おやつのでかいクッキーとそれをダンクするためのミルク(普通のクッキーが二割り増しでおいしくなる気がする)とか、わたしがイメージする「ああアメリカってこうだよね!」というものが凝縮されているような。
それもアメリカ人ウケがいい理由の一つなのかしら。

一番印象的なのはアティカスと狂犬のシーン。黒人青年トムのその後を考えると、ただ彼の射撃の力量を発揮するためだけとは思えない。他の鳥はいいけどマネシツグミ(mockingbird)だけは殺してはいけないとか、「狂犬病にかかった犬」なら殺すのは致し方ないとかをアメリカの良心のアティカスに言わせるのということは…うーん、すごく偏った「良心」に見える。
だけど原作を読んでみれば印象が変わるのかも。
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