ペン

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズのペンのレビュー・感想・評価

4.0
映画クレヨンしんちゃんシリーズ第12作。

誰もいない潰れた映画館。何故かそこで映画が上映されていた。そこに映るのは西部劇のような荒野の景色。引き寄せられるように映画を見つめるかすかべ防衛隊の面々。気がつくと、そこは映画の中の世界だった―――。


いつものしんちゃんと違い、ちょっと不気味な導入。そして、全体的にシリアスなテイスト。西部劇という特色もあり暴力描写もかなり強め。シリーズでも異彩を放つ作品です。

また、あえて前半は映画の世界に閉じ込められたかすかべ防衛隊および野原一家の生活を淡々と描きます。ここが間延びしているようにも感じられるのですが、すべて計算なんです。終盤のクライマックスの盛り上がり方がすごい!すべてはここに繋げるためなのです。非常によく練られています。

そして、本作の見所はしんちゃんの恋。ご存知の通り、しんちゃんは幼児にしてお姉さん好きなわけですが、恋愛対象は「大人の女性」と彼の中で線引きしています。恋というより憧れに近い感情だったわけです。しかし本作では、14歳の女の子つばきちゃんに恋をします。もしかしたら本当の意味ではこれが初恋なのかもしれません。劇場版でしんちゃんの本気の恋が描かれているのは本作1本のみ。可愛すぎる、そして切なすぎるしんちゃんの恋模様に涙腺を刺激されます。

また、荒野の七人が助っ人として登場(しかも、吹替版声優という拘り!)するなど西部劇としての見所も満載。しんちゃんシリーズの隠れた名作。オススメです。
ペン

ペン