さすらいの旅人

ダウト 〜あるカトリック学校で〜のさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

3.7
★嘘の電話は神から離れることになる
【CATV/JCOM:STREAM/配信視聴/ビスタサイズ】

ケネディ大統領が暗殺された1964年のあるカトリック学校を舞台にした映画だ。
今で言う神父による性加害問題に焦点を当てたワンシュチュエーションドラマだが、主な登場人物は3人だ。メリル・ストリープ演じる伝統を重んじる校長、フィリップ・シーモア・ホフマン演じる新時代を感じる神父、そしてエイミー・アダムス演じる純粋な新人教師の競演がこの映画の見所だ。

特に校長と神父との密室でのガチガチのセリフの応酬は、観ている方がハラハラするぐらいの迫力があった。板挟みになる新人教師は迷いが多くオロオロするばかりだ。この映画では神父による性加害の場面はない。匂わせる場面はあるが確固たる証拠はない。真実は不明だが校長の経験値から神父を追い詰めるシーンはサスペンスフルで面白かった。

重厚な映像と練られたシナリオは暗いテーマだが観客を飽きさせないエンタメ性があった。ただ、観終わった後、後味が悪くスッキリしないのが個人的に残念であった。ラストはこの時代の理不尽な世相を反映させたものと感じるが、中途半端な感じがした。実話であれば致し方ないが、その後の3人がどうなったか知りたい。