Chino

ハウルの動く城のChinoのレビュー・感想・評価

ハウルの動く城(2004年製作の映画)
3.5
ハウルをキムタクの棒読みって言う人はなんもわかってないって話

アニメの声優と俳優の違いって、舞台俳優とドラマ俳優の違いみたいなもの。で、なぜ舞台や声優の演技があれほど大袈裟かと言うと、記号的だから。
つまり、舞台は遠く、アニメは絵であるが故に視覚的な情報を記号的に表現する必要がある(=情報一つ一つが強く、情報量が少ない)。
だからそれと合わせるため、または情報量を補うために声も記号的で大げさになる。

だけどジブリは監督の観察眼が変態なので視覚的に機微が表現されていて、記号的演技がそぐわない。だから監督は「声優的な」演技をリテイクするんだと思う。

ジブリはこの監督の変態的な観察眼がずば抜けているのが特徴で、だからこそアニメなのにあれほどのリアリティがあって、リアリティがあるからこそファンタジーが映える。そして俳優的な(記号的ではなく情報の強くない繊細な)音声演技が、より一層作品に体温をもたらしている。

これと正反対なアニメがディズニー。あれはまさに夢の世界であるからこそ記号的表現を追求していて、だから声優や舞台俳優を声に起用する。(たとえばアナ雪の松たか子も神田沙也加も舞台メインの女優)

と思うのにただ「アニメ」という表面的な括りに囚われて「棒読み棒読み」と連呼する人はほんとに作品を真面目に見る気があるのかな?

人間失格をぱっと見で「蜷川ワールド」と言ってしまう人もそうだけど、真面目に作品を捉える気がないのに批判する人ほんと苦手。
Chino

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