クシーくん

小さな目撃者のクシーくんのレビュー・感想・評価

小さな目撃者(1970年製作の映画)
3.5
オオカミ少年が殺人の目撃者になってしまう話自体はこれ以前にもあるらしいが、純粋にそのアイディアに惹かれて視聴。厳密には嘘つきではなく空想癖のある少年が、暗殺犯の目撃者になってしまう為に命を狙われるサスペンスだが、空想癖故に周りから信じて貰えないというもどかしさに少年の無力さ、絶望感が伝わりなんとも息苦しい。

地中海はマルタ共和国で綺麗なイギリス英語を話す人々ばかり出てくるのでどういう設定なんだこれはと思ったがマルタ自体が英連邦加盟国だったんですね。全然知らなかった。

割りと丁寧に伏線が張られていて、よくできた作品である。とは言えスリリングで劇的な展開に慣れきった目で見てしまうと流石に古臭さは否めない。カメラワークが秀逸云々という解説をどこだったかで読んだが、なるほど変に仰観のショットを入れてみたり独特な絵が多い。だから楽しいかというとそうでもないんだけど。

当時大人気子役だったマーク・レスターの主演作で、レスター君は髪の毛がフワフワしていて今にも泣きそうな繊細な顔立ちが庇護欲を誘う可愛さ。とは言えレスター君よりも遥かにお爺ちゃん役のライオネル・ジェフリーズの方が魅力的な映画だった。今まで散々追い回された孫の分とばかりに古城に籠もって暗殺者達と戦う姿はジジイ・アローン。孫のためなら火炎瓶をエンヤコラ。

割りとポンポン人が死んでいくので、レスター主演でも全然子供向けなどではなく、まさかの人物まで殺されてしまう点ではなかなかショッキング。ある意味「ブロブ」と同様のタブーを犯した作品である。
最後についでみたいに死んだ運送屋のあんちゃんが気の毒過ぎる…
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