この映画が、史実を元にしながらもドキュメンタリーではなく娯楽作品であるとするなら、史実として明確でないことについて、如何に魅力的な仮説を立てられるか、ということが重要だと思う。この映画にはそれがない。
また、討ち入りした浪士たちの意志が統一されているのはそれでいいのだが、そこから抜けていった者たちの事情や思い、幕府は討ち入りのリスクをどう捉えていて、防ごうとしたのか利用しようとしたのか静観を決め込んだのか、吉良勢はどうなのか、庶民たちはどうなのか。視点は多様にあり、もっと、面白くなる要素は沢山転がっているのに、その辺の広がりがほぼ無い。