ヘソの曲り角

1999年の夏休みのヘソの曲り角のレビュー・感想・評価

1999年の夏休み(1988年製作の映画)
3.3
ごめんよくわかんなかった…。途中で飲み込めなさすぎて調べたら萩尾望都を下地に作ったとあってすべて納得。どおりで少女漫画っぽいと思った。あの絵を実写で表現しようとしたらこのキャスティングは正解。だが、万人受けは決してしないと思う。そもそも内容自体がかなりのドロドロ矢印錯綜愛憎劇なので演出云々以前に人を選ぶ展開だろう。そしてそれが私には合わなかった。なんかずっと性愛の匂いしかしてなくてなんか苦手だった。

とにかく金子修介の映像、編集がとんでもなく素晴らしい。カメラワークもアングルも何から何までバッチバチにキマっている。現実から夢の描写へと変貌させるカット際の急変がまた面白い。というか冒頭から真夜中の廊下を移動するショットの不気味さで"怖い"演出のツボを押さえられている(なんてったって『学校の怪談3』の監督だし)。最初の無言で貫く一連のシーンもいい。はじめに勘違いするシーンで『花様年華』ばりの神編集が炸裂するがあれも最後まで見ると別の意味を帯びてくる。森のロケーションもいい。

痴話喧嘩に一切関与しなくて済む深津絵里は一番幸福なのに「仲間はずれ」だと落ち込むのもまた箱庭的。深津絵里の駆けていく姿がなんだか記憶に残った。